立派なおっちゃんを見た

駅に電車が着いた。当駅止まりのアナウンスが流れる。気づかずに若い女性が眠りこけている。放っておいても駅員がなんとかするはずだ、そうに違いない――。人の群れは急ぎ足で改札へと流れてゆく。が、くたくたの仕事着を着たごましお頭の初老のおっちゃんが一人、流れとは逆の方向に駆け出した。そのまま発車しては大変と、女性のそばに小走りで駆け寄り、肩をたたこうとしたのだ。

と、その瞬間、女性は目を覚まし、勢いよく手を上げたままのおっちゃんと目覚めたばかりの女性は気まずい雰囲気になった。なんとも照れくさそうな笑みを浮かべながら、なにも言わず、おっちゃんはまた改札へ向かう流れに消えた。自分の行為がなんの役にも立たなかったという恥じらい――それがおっちゃんの照れになったのだろう。でも、おっちゃん、それを見て、少しだけやさしい気持ちになれましたよ。

by enzian | 2004-11-16 21:53 | ※通勤途中 | Trackback | Comments(2)

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Commented by bucmacoto at 2010-07-10 13:15
ピックアップブロガーに掲載されてからこのブログを知りましたので、この記事は初見でした。
自分とおっちゃんを重ねて見て、その女性と自分とを重ねてみて、その光景をやさしく憶えて紹介したenzianさんの視線を想像してみました。

私のところは広告欄を明確にすることで、このまま継続してゆく方針といたしました。
Commented by enzian at 2010-07-12 22:02
bucmacotoさん

ピックアップブロガーのときからでしたか。

>私のところは広告欄を明確にすることで、このまま継続してゆく方針といたしました。

ぼくはいちおうFC2に新ブログを開設しましたが、
じつはまだ揺れています。FC2に書きながら、
使い勝手を精査したいと思っています。

>自分とおっちゃんを重ねて見て、その女性と自分とを重ねてみて、その光景をやさしく憶えて紹介したenzianさんの視線を想像してみました。

ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。

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