美しい世界

このところしゃべるがイヤになってきた自分に気づいている。会議になってもあまり自分からはしゃべろうとしない。ほどほどに声を出して、変だなと思われない程度には “発話” する。話さねばならない立場なら最低限は話す。だが、ただそれだけのことだ。こんな気分になってきたのは、下品な言葉を浴びせかけられて辟易(へきえき)したことが原因らしい。だが、その「辟易」の意味はよく考えてみる必要がある。

下品な言葉に反論するのはたやすい。そういう話し方をする目的はなんですか?得るものはあるのですか?と真顔で問い質すことはたやすい。じっさい、つい最近までのぼくであればそうした。そして、その人以上に下品な言葉づかいで逆に問い詰め返しただろう。だが問題はまさにそこにあるのだ。そういう醜い自分の姿を想像したとたん、びっしょり濡れた布を何重にも体中にまとわりつけられたような気分になって、すっかりもうなにもやりたくなくなってしまうのだ。15歳の少年でもないのだから、弱々しいと言えば弱々しい。

できることなら、美しい言葉だけを聞いて、美しい言葉だけを話したいと思う。そういう世界で生きられればと思う。年始には今年の目標をこう書いた。「下品な言葉で人を傷つけないようにする」。口の悪さでは決して人後に落ちない自分には無理な目標だと知っている。だからこそ、ますます口が重くなる。



「下品な言葉」が指す内容はぼく以外にはわからないものですが、これを読んでそれは自分の言葉だと誤解する方がおられるかもしれません。そういう危険を未然に防ぐためにもブログにはこういうことを書かない方がいいのですが、今回はお許しください。

by enzian | 2009-03-10 22:39 | ※その他 | Trackback | Comments(18)

トラックバックURL : http://enzian.exblog.jp/tb/10481893
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented at 2009-03-11 01:18
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by dozen at 2009-03-11 14:38 x
下品な言葉というのは「なんだ、てめぇ」とか「ふざけんじゃねぇ、ばかやろうが」とかのことですか。ちがいますか。下品ですいません。

 そういえば昔(といっても大学生の頃)ある人からせんせいははっきりとものを言うから、いろいろ言われたりする、と聞いて感心した覚えがあります。

 下品な言葉の応酬の世界に身を置いていれば心が疲弊してきますよね。

 せんせいは自分で自分のことをフマジメだと言っていて、たぶんフマジメなんだろうけど、おそらくマジメなところもあると思うので、こころがやさぐれないよう、山にキノコ狩りに行ってください。時間があれば。
Commented by yuta at 2009-03-12 01:11 x
Enzianさん,こんばんは。
 研究室に松田道雄さんの「定本 育児の百科」というのを置いてあります。舌をぺロットだして笑っている赤ちゃんの写真の装丁と,お医者さんの文章とは思えないその医学書が悩んでいる人,困っている人をいつでも暖かく励ましてくれている,そんなふうに思える本です。その本を思い出したのでした。なぜか・・???
 その松田さんが,私の幼児教育論という本で,「・・感情のきめがこまかくて,他人をきずつけることをおそれ,勤労を愛し,生活において簡素と純粋を愛し,卑俗なものを憎み,ユーモアを愛し,温和であるが,必要だと思ったときは毅然として敵にたちむかうような人間を彼らはつくろうとしているのでしょう・・・」といったソビエトの幼児教育,美的態度についての記述をしていました。
Commented by yuta at 2009-03-12 01:15 x
つづきです。
>そういう醜い自分の姿を想像したとたん、びっしょり濡れた布を何
>重にも体中にまとわりつけられたような気分になって、すっかりも
>うなにもやりたくなくなってしまうのだ。15歳の少年でもないのだ
>から、弱々しいと言えば弱々しい。
なにか,先の引用文と重なるような気がしたのでした。^^
 「殺す」ことは自己否定になる,というenzianさんの感想,そんなふうにすっきりかっこよく言い切ってみたい,アタイも!と思ったのですが,そういい切れるほどにそう思えていない自分を感じていたのです。自分にとってどんな他人であっても,他人を傷つけることは,「殺す」ことと同じように自己否定になってしまうんでしょう。と思ったら腑に落ちました。弱々しい自分を自覚することは,美しい世界を感じるのには大切なことかもしれません,と思いました。ということで,いつも大切な気づきをさせていただき,ありがとうございます。
 ブログの神様がいたずらをするようで,さっき長々同じような文を入れたのですが消えたみたいです。もしまた姿を現したら,ご迷惑かけますが削除していただけますか。
Commented by 座敷童 at 2009-03-12 02:47 x
「下品なことば」というのは
「禁忌」に触れているようなものでしょうか。
うーん想像するのが難しいですが。
なんかガラスのハートをちらつかせている人がいるぞ。

童の周りではモノ(品・物)を作る人が多いので
「下品」であるものの実例を目にする事があります。
そういったモノに限って、作り出した本人は
周りに押し当てるように示してきます。
人々は目を背け、感情を押し殺します。
一方「美しいもの」には私は二通りの感情を与えられます。
「恐怖」か「安堵」です。
冷たく美しいものには恐怖を、
暖かく美しいものには安堵を得るのです。
冷たく美しい中の「下品」なものには
回避したいという行動が真っ先に出ますね。

上品下品があって社会生活って、大変。
中品で行きたいものです。
Commented by enzian at 2009-03-12 23:05
鍵コメさん

こんばんは。

TVのことは鍵コメさんの気持ち、わかりますよ。
ぼくも、気づいたらぶつぶつ文句を言っているときが
ありますもの。^^;

でも、それもあまり度が過ぎると
自分を傷つけてしまいますね。
控えるようにして心が軽くなった‥‥
という気持ちもよくわかるのです。

>第二段落目

激しく同意します。
言葉というのは恐ろしい生き物のようなところがあって、
たとえ冗談半分でそれを使っていても、いつのまにか、
それを使う人間を本当にそういう性質に変えるような
ところがあるように思えるのです。

子どもは大人が使う言葉を聞いていると思います。
そのことを大人は忘れはいけないですね。

>最後の二行

まったく同感です。
外見上の乱暴さは、内側の乱暴さとは別物です。
(それは逆のことも言えます。)
むしろ恐ろしいのは氷のような言葉ですね。
それは人間の心を冷やします。
Commented by enzian at 2009-03-12 23:09
dozenさん

>下品な言葉の応酬の世界に身を置いていれば心が疲弊してきますよね。

その通りです。
ですが、注意しないといけないのは、
下品な言葉の応酬の世界というのがあらかじめあって、
そこに自分がどうしようもなくはめこまれてしまう、
というのではなくて、その世界を作るのは自分だ、
ということです。

>山にキノコ狩りに行ってください。時間があれば。

行けないので、
頭のなかの仮想空間のなかで行っています。^^
Commented by enzian at 2009-03-12 23:35
座敷童さま

>「下品なことば」というのは
「禁忌」に触れているようなものでしょうか。

そうかもしれないし、
そうでないのかもしれない。
禁忌の意味は観点によって
変わってしまうのです。

>一方「美しいもの」には私は二通りの感情を与えられます。
「恐怖」か「安堵」です。
冷たく美しいものには恐怖を、
暖かく美しいものには安堵を得るのです。
冷たく美しい中の「下品」なものには
回避したいという行動が真っ先に出ますね。

それはおもしろい分析だけど、
もう少し「美しいもの」と、
「暖かいもの」の説明が欲しいな。

>社会生活って、大変。
中品で行きたいものです。

上品でいいのじゃないの?^^

ちなみにぼくは洗練された紳士が使う言葉が上品で、
いわゆる汚い言葉使いが下品だと言っているわけではないよ。
言葉の形のことではなくて、童の言い方だと温度かな。
暖かいのが上品、冷たいのが下品。
だから、ぼくの考えだと、冷たさを与える上品さ
というのはないことになるかな。
Commented by enzian at 2009-03-13 00:02
yutaさん

こんばんは。

コメント、また消えてしまいましたか?
しばらくぼくは記事をさわっていなかったので、
今回はなにが起きたのでしょう。困ります。

>自分にとってどんな他人であっても,他人を傷つけることは,
「殺す」ことと同じように自己否定になってしまうんでしょう。

オイラもそう思う!☆\( ̄ ̄*)バシッ

>弱々しい自分を自覚することは,美しい世界を感じるのには大切なことかもしれません,と思いました。

そうですね。そう思います。
この美しい世界に住んでいるのは、
洗練された紳士淑女なのではなく、
でくのぼうたちなのかもしれませんね。^^

>「・・感情のきめがこまかくて,他人をきずつけることをおそれ,勤労を愛し,生活において簡素と純粋を愛し,卑俗なものを憎み,ユーモアを愛し,温和であるが,必要だと思ったときは毅然として敵にたちむかうような人間を彼らはつくろうとしているのでしょう・・・」

松田道雄さんの言葉をここで引いてもらえるなんて、
なにかとても嬉しいのです。
あぁオイラも(ひつこい!)そういう人になってみたい、
と思える言葉です。
Commented by enzian at 2009-03-13 00:07
yutaさん、続き

>必要だと思ったときは毅然として敵にたちむかうような

その他の部分の大切さは今回は割愛するとして、
特にこの部分がいいですね。

ぼくは、こういうことができるのは自分の弱さを自覚できる
人なのではないかと思っています。

ムナーリの絵本、読んでみます。
Commented by 座敷童 at 2009-03-13 00:43 x
この記事、いろんな角度(尺度?)のコメントがあって
他の方のコメもレスも楽しいですねー。

>もう少し「美しいもの」と、
「暖かいもの」の説明が欲しいな。
うぐ、形容詞を使わずに説明する語彙力がありませぬが、
美しいものは大きすぎるので、ここでいう「暖かいもの」は
自分の言葉をぶつける相手が何者であれ、
己から格差の線引きを最初から求めておらず、
立場の線引きは示しているという事が、
受取手側にとって確認できる程度の表現。
・・・ダメだ、自分で、混乱し、た。

もうちょっと修行してから出直します。
あと、下条ア○ムはラジオがいいんですよぅ!ヾ(`Д')ノ
Commented by 毒きのこ at 2009-03-13 20:05 x
>美しい世界

行ってみたいわぁぁぁ(うっとり)


醜いものや穢れたものは溢れています・・ネ
そしてその後味の悪さ、感染力・・・辟易するのも、ごもっとも!
蓋をするかどうかしたくなります・・(@@)

だからこそ
ごく稀に見つけた
美しい・・・に心酔♪

enzianさんも
お疲れですね・・・
春の野山に癒されてくださいね
そんな画像もまた、見たいなぁ~☆

私は明日
蕗味噌をつくります
Commented by enzian at 2009-03-13 22:35
座敷童さん

じゃ、来週、レポート再提出ね。^^v
Commented by enzian at 2009-03-13 22:38
毒きのこさん

>だからこそ
ごく稀に見つけた
美しい・・・に心酔♪

そうそう。^^

>春の野山に癒されてくださいね
そんな画像もまた、見たいなぁ~☆

いま野山はいい具合になってきてるのですけど、
なかなか写真を撮りに行く時間がなくて。あぁ。

>私は明日
蕗味噌をつくります

ご飯がすすみそうですね。
じゅる。^^
Commented by soulsleep129 at 2009-03-14 17:11
ご無沙汰してます。SOULSLEEPです。
ほんと、私もenzianさんと同じような抱負を毎年誓っています。が、
なかなかですネ。
なんで、ハワイにいるのが少し楽かというと、英語ではいろいろ
悪口とか人を攻める言葉とか、言わずに済むからです。
言葉が不自由なのがマイナスなこともあるけれど、少なくとも
人の悪口を言わずに済みますからね。それがちょっと精神的に
健康だったりするんです。
 時々、人里はなれた山奥で仙人のように暮らしたい!
と思うこのごろです☆
Commented by enzian at 2009-03-15 11:38
soulsleepさん

なんか抱負なんていうものは
こういう場所であからさまにするものではない
ように思うのですが、今年もあからさまにしてしまいました。

>少なくとも人の悪口を言わずに済みますからね。

まじめに喧嘩できるぐらいになれば、
その言語にかなり習熟していることになるのでしょうね。
ぼくは日本語でしか無理!
(というかその日本語もあやしい^^;)
Commented by kaori--y at 2009-03-17 22:29
明日は卒業式なのですね。
enzianさんにとってもおめでとうの日ですか?^^


自分に厳しくなると言葉は段々少なくなってくると思います。
でも、それくらいでいいのかも。
本当に話さなければいけないことって、
下品な言葉でなくてもそんなにないですよね。

でもあんまり厳しくなると自分で自分に疲れるので、
「下品」も時々外に出してあげた方がいいかも。
溜めると発酵することがあります。

下品ってなんなのか考えてみたのですが、
「悪意」かなぁと思いました。
あとは「傲慢」とか。
で?その先は?
なのですが(^^; (←浅い思いつきの人)
Commented by enzian at 2009-03-18 22:53
かおりさん

今日は暑い卒業式でした。
コートとかは必要なかったです。

>enzianさんにとってもおめでとうの日ですか?^^

「おめでとう」と言う日です。^^

>自分に厳しくなると言葉は段々少なくなってくると思います。
でも、それくらいでいいのかも。

どうもありがとう。w

>でもあんまり厳しくなると自分で自分に疲れるので、
「下品」も時々外に出してあげた方がいいかも。
溜めると発酵することがあります。

味噌は発酵した方がいいんだけどね。\(-_-)ピシッ
ほどほどに出します。
というか、勝手に漏れ出る。。。^^;

>下品ってなんなのか考えてみたのですが、
「悪意」かなぁと思いました。
あとは「傲慢」とか。

そうですね。
その言葉で表現できると思います。

<< 飛行機雲 共生 >>