電車で福笑い

電車で、一心不乱に化粧をしている人を見る。まじまじと見つめるのはマナーに反するかとも思ったが、くちゃくちゃガムを噛みつつ、傍若無人な様子でまったく他人の視線を気にしていないようだったので、しばらく観察してしまった。こういう人は、きっと自分のターゲット以外の人なら、自分が化けてゆく(化粧だからね)過程を見られたところで、どおってことはないのだ。ターゲットには、「キャー恥ずかしい」とか何とか言うのだろうけど、ターゲット以外は、路傍の石ころのようなものなのだ。都合よく、石ころはそう思うことにした。

見たこともないレアなアイテムが次から次へと繰り出された。塗ったくったり、たたいたり、線を引いたり、挟んだり。一瞬の無駄な動きもない。クライマックスは、それまでなかった見事な眉が突如として出現したときだ。揺れる電車のなか、しかもくちゃくちゃガムを噛みながら、まごうことなき匠の技であった。お正月の福笑いよりもはるかに難しいだろうと感心したものだ。だから、これのどこが哲学なのか。

by enzian | 2004-11-22 21:24 | ※通勤途中 | Trackback | Comments(3)

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Commented by jumpin_upanddown at 2004-11-22 22:45
本物の匠です。無から何かを作り上げてます。
ガムをかんでいるところなど余分な力を抜いていて、力みがちな素人との違いが歴然。
Commented by enzian at 2004-11-22 23:11
無から作り上げるなんて。そんな恐ろしいこと、思っていても、口にできません。こういう匠の技なら、畑のジャガイモでも美人にできるのでしょうね。
Commented by jumpin_upanddown at 2004-11-23 00:35
できますよ。
じゃあ早速、私がやってもらおうかな。

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