蛍の光

ホタルを見に行った。1年に1回は見ないと夏がはじまらないのだ。年々人が増えているが、風流粋に感ずといったタイプの人ばかりで、いっしょに見ていてもいやな感じはしない。足下になにやら気持ちのよいものがからみついた。「ごめんなさい」と飼い主の女性。ミニチュアダックスフントだった。写真を撮っていたら、石鹸の香りがする。パジャマ姿の男の子と女の子が隣の家から風呂上がりに出てきたのであった。5分ほどで石鹸の香りは帰って行った。いつだって見られるのだ、彼らが今日にこだわる必要はない。

数十匹のホタルが明滅しながら舞っている。京都の街中とは思えない。近くの大学から大学生数人と年配の男性1人のグループがやってきた。品のよい学生ばかりだ。年配の男性がしきりに感動している。「昨年は3匹しか見られなかったんだよ。今日でよかった、ほんとうによかった。来年はもう見られないからね」。なぜだろう?と思って男性の顔を見れば、60才過ぎぐらいの白髪の方だった。今年で定年を迎えられるのだろう。

ひとまわりして先ほどの場所に戻ってみると、白髪の男性がいて、まだつぶやいていた。「これは見事だよ」。もう学生たちはいない。ぼくも帰路についた。

by enzian | 2009-06-12 23:40 | ※街を歩く | Trackback | Comments(0)

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