走馬燈

b0037269_18211432.jpg線路沿いに建つ家の屋根は舞い上がり落ちた鉄粉が錆びて赤茶色になっていることが多い。小さなころは、こういう赤茶色の屋根を見るのがいやだった。電車からの景色を眺めるのは好きだったが、そういう屋根からは目を背けていた。

どこであれ有刺鉄線が張りめぐらされたような様子はいまでも好きになれない。忘れ去られた土地の一角に冷蔵庫やテレビといった粗大ゴミが棄てられている光景も嫌いだ。複雑な配管が剥き出しになった工場群のことなど考えたくもない。「工場萌え」反対。高速道路や新幹線がひっきりなしに通る高架の下も好きではない。こういった風景は、それを目にすることで自分からなにものかを略奪していくように思える。

母方の墓参りに行く道の途中に、ちょうど、このような風景の集合地帯のようなところがある。この道を行かねば墓には着けないのでしぶしぶ通るが、何度通ってもあまり気持ちのよいものではない。だがややこしいことに、こんなマイナス要素たっぷりの場所であっても、なにかしら、そこを通ることで心を浮き立たせるものがあるのだ。静めるというべきかもしれないが。人はこの世界に別れを告げる際にさまざまな光景が走馬燈のように走り行くのを見るというが、そのときには、この道を歩く自分の姿を見ることだろう。

by enzian | 2009-08-22 18:35 | ※山河追想 | Trackback | Comments(12)

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Commented at 2010-03-23 00:38
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Commented by enzian at 2010-03-24 22:00
鍵コメさま

ありがとうございます。
おかげで、記事にできるかなぁということを
思い出しました。いつか書きますね。^^

土筆見つけたのですよ。
どこでだと思いますか?
この有刺鉄線の向かい側にある土手で、です。
あんまり環境のよいところではないのですが、
土筆は生えるのですね。

美味しくいただきました。^^v
Commented at 2010-05-22 23:04
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Commented at 2010-05-22 23:09
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Commented at 2010-05-22 23:13
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Commented at 2010-05-22 23:14
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Commented by enzian at 2010-05-23 12:28
鍵コメさん

そうとう長く思索したであろうコメント、
ありがとうございます。
ぼくにも、少し時間をかけてレスさせてください。

まず色について。
青系統の色を生まれてはじめて、
少し調べてみました。

なんと、こんなにいろいろあるのですね。
ぼくが追い求めてきたのは瓶覗や藍色(あじいろ)
だと思います。たぶん、後者。
がしかし、群青を薄くした白群、いいですね。
秘色もたまらんです。
見ていると、よくわからなくなってきました。
青は大方好きです!
(そんなおおざっぱでいいのか、enzian?^^;)
Commented by enzian at 2010-05-25 22:51
鍵コメさん、続きです

>回り灯籠

ぼくは走馬燈と回り灯籠の区別がわからないのですが、
そうかもしれません。(^^ヾ

回って滲むというのは卓見だと思います。
そうですね、あれは滲んでいくことが大切なのだろうと、
言われてみればそうだと思いました。

微熱で動くのですよね。

>仏教的な意味

ぼくも仏教的な意味はわかりません。
たぶん仏教の教理から出てきたというよりも、
一般的な人々の思いから出てきたものなのでしょう。
それは、鍵コメさんもおっしゃるように、
言葉にはしがたいような、
微妙な意味を表現したものであるような
気がしてなりません。

もう少し細やかな鍵コメさんの言葉には、
いまのぼくの言語能力では追随することができません。
目を通しております、とだけ。(^^ヾ
Commented by enzian at 2010-05-25 22:51
鍵コメさん、さらに続きです

>白砂

ぼくは白砂の触感を書いていますが、
その触感はさらに分析すれば、なるほど、
「すくいあげられ」「ぬうようにめぐり」「見送られる」
そのような要素を含むと思います。
それは「こころ」の感触なのかもしれませんね。

離島好きで沖縄好きゆえ、
どうしても白砂となると波照間島とかなんとか騒ぎますが、
ぼくは日本海が大好きなのですよ。
特に福井県の海が好きです。
学生時代、福井県の海岸線はほぼ歩いたと思います。
美しい砂浜がたくさんありました。
また記事にすることでしょう。

~つづく
Commented by enzian at 2010-05-31 23:39
鍵コメさん

よい短歌ですね。

>ガーゼ

ガーゼには思索を誘うなにかがあります。
それはなにを包むものでしょうか。
それは縦横な糸によって編まれたものです。
そしてそれは風を通しもするもなのでしょう。

語源を調べてみたら、ドイツ語のGazeは、
パレスチナの港町ガザ産の織物が
用いられたところからの名前なんですってね。

昨日は淡海をうろつきました。

コメント、ありがとうでした。
そちらにもコメントしたいと思っています。
Commented at 2010-06-01 23:14 x
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Commented by enzian at 2010-06-02 23:05
鍵コメさん

どういたしまして。
しょっぱくない話も書きますね。

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