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b0037269_234394.jpg昨秋、キノコを近所に探しにいったときに、意外な山間(やまあい)に小さな畑が作られているのを見つけた。そこはきめ細かな山砂が採れるところで、お世辞にも肥沃とは言えない土地だったが、スイカやらナスビやらカボチャやら、けっこうたくさんの野菜が整然と畝に植わっていた。

雨水を貯める貯水槽がつくられていた。辺りに川はない。美しい山砂は水をいとも簡単に吸い込んでしまうのだろう。畝のあいだには、首をすっぱりと落とされたヤマカガシが一匹横たわっていて、赤い切り口には銀蠅たちがたかっていた。それを見て、なんの根拠もないとは感じつつも、この畑を作っているのは本当に土に生きているひとなのではないか、という思いを抑えられなかった。

実家の玄関からヘビが家に入ろうとしたことがある。朱点をおぼえているから、ヤマカガシだったのだろう。足下で素速くうねったいやに長いものに驚いてぼくは「うっ」とも「あっ」とも言えぬ声をもらして飛びのいた。その声を聞くが早いか、納屋の壁に掛けてあった鍬を持って駆けつけた祖母は、微塵の躊躇もなくヤマカガシの首をしたたかに打ちつけ、殺したのであった。鍬をもつ祖母の手の指は、太く、節くれ立っていた。

by enzian | 2010-03-20 23:02 | ※山河追想 | Trackback | Comments(0)

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