菅浦(2)

b0037269_1932583.jpg川に沿って大浦まで南下する。大浦はさらに東の塩津や飯浦と並んで琵琶湖のなかでももっとも奥まった北方に位置する内湾のひとつ。

大浦からの眺めのなかで琵琶湖ははるか南に延びているが、何十キロも先の対岸はさすがにかすんでいる。対岸にあたるのは彦根市か近江八幡市あたりか。それよりも南、大津市でぼくは生まれた。ぼくのなかには琵琶湖の水があって、ときどき水辺に誘い出そうとする。母は近江の人だった。

大津などの南湖(琵琶湖の南側)とはちがって、ここ大浦の水は透き通っている。透き通った水を見るのは好きだ。透き通った水に手を浸すことはもっと好きだ。体温が高くて、とくに手のひらの体温の高いぼくは、いつも指先で冷たいものを探している。体温が高いといったら、体温が高いひとは心が冷たいのです、と返されたことがある。自分の胸に手を当ててみれば、なるほど、いつも指先より冷たく感じる。

少し離れたところに防波堤が見える。釣人もいる。福井の青い海とそっくりで心が躍った。透明な水の浅瀬で鮎の群れが行き交う。ひとを怖がらないのかと思って近づくと、あわててという風ではないが、じょじょに距離をとっていき、やがて群れは影も形もなくなっている。しまったと思っても、その後、近づいて来ることはない。

by enzian | 2010-06-12 18:46 | ※海を見に行く | Comments(0)

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