消しゴム

昨日は高校生を対象とした「学びフォーラム」というのがあって、朝から授業をした。しとしと降る雨のなかいつもの学校に着くと、高校生がうじゃうじゃいた。高校生の波を縫いながらいつもの道を歩いていると、消しゴムが落ちている。高校生に配っているものらしい。誰かが拾うかと見ていたが、高校生たちは消しゴムをまたいですたこら行ってしまう。授業を終えて通りかかると、同じ場所にさっきの消しゴムが落ちている。何度か踏まれたらしく、ゴムをくるんだ包装紙はなくなり、靴裏の模様がついたゴムだけが濡れていた。あれだけたくさんの高校生がそばを通って、ひとりも拾う者がいなかったのだ。

汚くなった消しゴムを拾う者はもういないだろう。ぼくは高校生ではないが、消しゴムを拾うことにした。いまぼくの手元にはその消しゴムがあって、今日は朝からよく働いてくれた。ぼくのしたことは厳密に言えば “ネコババ” というものだと思う。

高校生のうちから大学でするような授業を聞きに来て、熱心にメモをとることはすばらしい。そのような勉強をして社会のリーダーになろうとするのは立派なことだ。しかしぼくは、むずかしい授業で熱心にメモをとる学生である前に、ひと目をはばかって迷いながらも落ちている消しゴムを拾い、そのことの意味を考えられるような学生であって欲しいと思う。個人的には、ぼくの大学はそういうことを教える大学だと思っている。

by enzian | 2010-10-31 18:38 | ※キャンパスで | Comments(0)

<< 「あなたの文章は作文であって、... 出欠をとるということ >>