ふたばの豆餅な人間観

ある精神科医の言葉に感銘を受けたことがあります。これは、これまたかつてぼくが感銘を受けた書、笠原嘉『精神病』(岩波新書)に引用されていた言葉で “孫引き” になってしまうのですが、望ましい治療者の自然な態度とは「おだやかなオプティミズムで修正されたリアリズムであろう」という言葉です。

この言葉はときに非情にむずかしい治療をおこなわざるをえない方の言葉なのでこういうことになるのでしょうが、ぼく自身は、日々の生活を送るにあたって、さまざまにかかわるひとたちたいして(そこには自分自身も含む)、それなりの紆余曲折を経て、いまでは「おだやかなリアリズムで修正されたオプティミズム」で臨(のぞ)むのがよいのではないかと思うようになっています。

しかしそれにしても、リアリズムとかオプティミズムといった言葉はむずかしいですね。「リアリズム」は現実主義、「オプティミズム」は楽観主義を意味します。これでもきっとわかりにくいと思うので言いかえると、「おだやかなリアリズムで修正されたオプティミズム」というのは、ちょうど、京都の「出町ふたば」の豆餅の味のようなものです。餅に含まれるわずかな塩味加減が絶妙で、中の餡をしつこくない上品なものに仕上げています。品のないオプティミズムは単なる軽薄にすぎず、批判を欠いた思いこみはやがて絶望に至る。ふたばの豆餅を食べたことのない方にはわかりにくいかな。ローカルネタで自画自賛。

by enzian | 2011-03-29 22:56 | ※その他 | Comments(0)

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