宇宙的関西弁

このネタはもうなんかいか書いたのだけど、また書いてしまう。NHKがアナウンサーたちに厳密な標準的イントネーションの正確さを求めるという話は聞いたことがあるが、一方、NHKが放送するドラマで使われる関西弁の不正確さは目を覆うばかりで、ときに観ていてつらくなることがある。そんなわけで、ドラマはもともとほとんど観ないが、とりわけ関西人設定の登場人物が出るNHKドラマは観ない。関西人設定の登場人物を関西人が演じておればよいではないか?というひとがいるかもしれないが、よくない。そういう関西人もまた、なぜかドラマのなかでは変な言葉を話すからだ。おそらくNHKには方言指導者がいて、ある意図をもって “特種な関西弁” を指導しているのだろう。

もちろん、これぞ関西弁という関西弁というのはないわけだが、広範囲に曖昧に広がる関西弁領域のなかから、聞いた言葉がどの辺りにあるかを瞬時に感じ取り、関西弁であるか否かを判断できるのがネイティヴ関西人なのである。ところがNHKドラマの関西弁はしばしば、イントネーション、ときには語彙をも含めて、ネイティヴの関西人でも使用例を聞いたことのないような独創的な関西弁なのだ。そうした宇宙的関西弁は「どうやら関西弁らしい」ということが文脈によってようやく判定可能となる “文脈依存言語” である。ぼくは長く、実在しないものを流すことになんの意味があるのかと感じていたが、最近は、きっとNHKは独自のユートピア(「どこにもない場所」の意味)文化を創ろうとしているのだろうと思っている。言語文化の創作的脚本としてはおもしろいのかもしれない。

*文脈(コンテクスト)
‥‥この場合、NHKドラマの、関西人設定の登場人物であるということ、など。

by enzian | 2010-07-29 21:27 | ※テレビ・新聞より

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