合間

論文を書いていると、どれほど緻密に筋書きを思い描いていたつもりでも、いつか行き詰まってしまう。論文ごとき書けずとも死ぬわけでもあるまい、というひともいるかもしれないが、研究することを生業の何割かにしていて、それを自分のなけなしのアイデンティティだと思い込んでいるタイプの人間にとっては、少なくとも、行き詰まっているあいだは生きた心地がしない。なんとか池地獄でもがく亡者の心地さえして、ほとんど生存の危機に瀕している。

再三こんな目にあっているなら、泥沼に落ち込まない方法を考えればよいのだが、思いつかない。ほんとうのことをいうと、思いつこうとも思っていない。そういうわけで、いつも泥沼でびちゃびちゃやっている。もちろん、あるとき亡者の上にも、するすると光の世界から蜘蛛の糸が降りてくるのだが、いまいましいことに、パソコンの前でうんうんうなっているときには降りてこない。決まって降りてくるのは、就寝前の夢とうつつのあいだか、風呂場で頭をごしごし洗っているとき。考えているとも考えていないともいえない曖昧な合間。

by enzian | 2011-09-15 21:25 | ※その他 | Comments(0)

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