のっぺらぼう

ぼくには昔から変なくせがあって、相手に人間の言葉がつうじないと感じたとき、そのひとがサルに見えるようになってくる。そういうひとがキキー、ウッキーと発話するのをじっと聞きながら、あぁおサルさんがしゃべっていると思っている。とりわけそういうおサルさんが自分の権利主張のみをこととするタイプの場合は、これまたどういうわけか、牙をむいたマントヒヒに見えてくる。もうこうなるとダメで、ぼくはヒヒとは距離をおく。

相手が別の言語を話すひとであれば、苦手な外国語であってもあいさつぐらいできるようにしようかとも思うけど、相手に人間の言葉がつうじないとなると、手のほどこしようがなくなる。これはもうコミュニケーションの問題なのではなく、生物学上の棲み分けの問題なのだと思うし、誰しも出くわす、けっこう切実な問題なのだと思う。

ここで考えるのはふたつのこと。ひとつは、自分が他人から見て、マントヒヒになっていないという保証はどこにもないこと。もうひとつは、ヒヒをじっと見つめているときの自分の表情はどんなものかということ。自分ではのっぺらぼうのようになっているのではと思えるのだが、のっぺらぼうは自分の顔を見ることができない。

by enzian | 2012-05-27 12:44 | ※その他 | Comments(0)

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