セイタカアワダチソウ

沖縄に大手のコンビニが進出するらしい。小さな個人商店や共同売店が好きで、行く島の共同売店と御嶽(うたき)の所在から旅の計画を立てる自分からすれば、どこに行っても学内のコンビニと同じような景色が展開するばかりなら、旅気分が失せてしまうのでなんとかならんものかと思っている。ぼくも、おばあさんが一人で肉も魚もお菓子も日用品も扱っているなんでも屋が一軒しかなかった地域に住んでいたから、同じものが欲しいという気持ちはわかる。その地域に一軒のコンビニができたときの感動はいまも忘れられない。コンビニができたころは、夜半に何度、意味もなく自転車で行ったことか。

共同売店なら、地域の人たちはそれぞれ出資の負担もあるからコンビニの進出を歓迎するのは当然だろう。コンビニと小さな個人店や共同売店の共生は困難に思えるが、まれにしか訪れない単なる旅行者がとやかく言える立場にはない。だが、同じ価値を求めるさいにそこにもともとあったものを無くしてしまうと単なる画一物しか残らないことになって、いっときは便利でも結局そこを選ぶ理由がなくなってしまい、滅亡を早めてしまう。あちらでもそちらでもあるものだけではダメでここにしかないものを、さらには、それなりに満たされた人なら自分しか知らないそこにしかないものを求めて移動していく。郷里のなんでも屋はコンビニの出店とともに廃業し、そのコンビニがあった場所も、いまはセイタカアワダチソウが生えて風に揺れている。

by enzian | 2016-09-25 21:59

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