夜半の老婆

夜中コンビニに行ったら、かなり歳をとったやせたおばあさんが一人で缶入りのキャットフードを品定めしていた。缶に顔を近づけ、ラベルを食い入るように見ている。それに気づいたこちらは、もう自分の買い物どころではなくなった。おばあさんの異変に気づいたのは自分一人。このような場合、良い子のとるべき態度とはどのようなものなのだろうか?

勘違いをしているのかもしれないから、声をかけようか。「おばあさん、それはニャンコの食べ物で、人様の食べるものではないのですよ」。考えているはなから、これは言ってはならないことだと自分のなかで打ち消した。夜中の2時に老婆が、しかも一人でまともな食べ物を買いに来るなんてことは考えられないのだ。この時間に、一人で、人間の缶詰よりも若干安いキャットフードを買おうとすることには、それ相応のフカ~イ理由がきっとある。人間が食べても毒なわけでもなし、ここは知らぬふりをするのが良い子のとるべきキチンとした態度に違いない。

結局、良い子は買い物を済ませてコンビニを出ようとして、もう一度ペットフードの棚を見たら、老婆は忽然と消えていた‥‥「へぇ~やっぱり出ましたか、あそこの棚はねぇ」なんてことはまったくなくて、相変わらず、おばあさんはキャットフードの品定めを続けていたのだった。ヒュードロドロではないが、ある意味、それよりもイヤなものを見た気がする。

by enzian | 2004-10-15 22:08 | ※街を歩く | Trackback | Comments(0)

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