喰われる

読んで気分のよい文章ではないので、隠します。



巣にかかったコウモリの体液を吸っている蜘蛛の写真を見て、えも言われぬイヤな気分がした。それは “恐怖“ と言ってよかった。この恐怖はいつか味わったことがある‥‥と考えていたら、思い出した。映画「楢山節考」(1983年、監督は今村昌平)のオープニング場面を観たときに感じたものなのだ。カエルがカマキリに喰われている場面だった。

その恐怖は、自分が圧倒的に優位にあると思っている者に、突如として優位を覆される恐怖だと思った。自分よりも “下” にあると思いこんで安心しているような者に、ある日、安寧(あんねい)を破られる恐怖である。蜘蛛やカマキリに喰われているコウモリやカエルは、ほかならぬ自分自身なのである。その恐怖はまた “戦慄” と言ってもよい。

安部公房が、教師なんていうものは万年、卒業してゆく学生に置いてきぼりにされて、すねている人種なのだというようなことを書いていて、教師をしたことのない者になにがわかる‥‥と一笑に付したことがあったが、正しいのは安部の方だったのかもしれない。つねひごろは自分が教えたはずの人間に追い越されることが喜びだなどと満面の笑みで語っているが、こころの奥底では追い越されることをひそかに恐れているのかもしれない。

by enzian | 2007-09-20 18:42 | ※テレビ・新聞より | Trackback | Comments(34)

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Commented by coeurdefleur at 2007-09-21 06:46
他のニュースを探していたらありました~>クモの記事
蝙蝠が逃げられないってすごいなぁ。
素直に感心。
なまで見たいぞ~^^

楢山節考はビデオ持っていますが、怖いから観直しはしないの~
ほんのちょび遡るだけで、自分の国が見知らぬ国になる瞬間。
○○に蓋な普段の生活が偲ばれまする^^;

追い越してもらわねば困るんだけど、置いてけぼりは寂しい。
直線ではない深層心理?
皆さん持ってる感情じゃないかなぁ。
仕事に限らず。
Commented by aroomwithaview at 2007-09-21 16:48
こんばんは!

日々、娘に追い越されています。嬉しい悲鳴!
最近、いちばん痛かったのはヴァイオリン。
ふたりで一緒に始めたのに完敗です。(涙)
でも、恐れもエネルギー源です。
追い越されても追いつきたい&追い越したいをエンドレスに
続けながら、お互い上達していくのが楽しいです。
恐れが全くなかったら、かえってそっちのほうが怖いかも!?
というか、まだまだ青いから・・・なのかな?

>追い越されることをひそかに恐れているのかもしれない

あ、これは日々、教えるなかで追い越されたと感じることですか?
それとも、卒業後のことですか?だとしたら、どんなときにそう感じるのでしょう?
あ・・・変な質問かな。

そうそう、あの小さなマングースがハワイの絶滅の危機に瀕したネネグースを
食べちゃうんですよ。うぅっ・・・
Commented at 2007-09-22 00:11
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Commented by 毒きのこ at 2007-09-22 09:37 x
不意打ちの蹴りをくらったような、呆気ない敗北。
無防備で傲慢な姿を、奴に徹底的に観察されていたなんて。
喰われる時は、抵抗も虚しく。
完璧なまでの用意周到は、美しくも震え上がるほどに戦慄を呼び起こす。

嗚呼、
喰われてみたい・・(-_-メ)
Commented at 2007-09-22 11:06
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Commented at 2007-09-22 11:06
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2007-09-22 11:48
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by enzian at 2007-09-22 18:44
柊さん

>なまで見たいぞ~^^

(。-_-。)ウウッ 
目の前に現物があったら、しげしげ見るけどね。

>楢山節考はビデオ持っていますが、怖いから観直しはしないの~
ほんのちょび遡るだけで、自分の国が見知らぬ国になる瞬間。

今村昌平のテイストなんでしょうかね。
ちょっとグロテスクなんですけど、
そういうものがあったのでしょうね。
田舎に育ったぼくにとっては、
人間の姿としてあまりにリアルに感じられるところもあります。

>追い越してもらわねば困るんだけど、置いてけぼりは寂しい。
直線ではない深層心理?

たしかに、直線的ではない心理ですね。
一本線でなんていられない、
というのが現実かもしれませんね。
Commented by enzian at 2007-09-22 18:56
aroomwithaviewさん

こんばんは。

>最近、いちばん痛かったのはヴァイオリン。
ふたりで一緒に始めたのに完敗です。(涙)

それは勝とうと思うのが無理な話かもしれませんね。^^
語学力とか、楽器への順応とかそういうのは、
圧倒的に子どもが強いような気がします。
それより、お子さんといっしょにはじめようという
チャレンジ精神がいいと思います。

>でも、恐れもエネルギー源です。
追い越されても追いつきたい&追い越したいをエンドレスに
続けながら、お互い上達していくのが楽しいです。
恐れが全くなかったら、かえってそっちのほうが怖いかも!?

同感。
恐れはぜったい必要で、
それがエネルギー源になりますね。
Commented by enzian at 2007-09-22 20:38
aroomwithaviewさん、続き

>あ、これは日々、教えるなかで追い越されたと感じることですか?
それとも、卒業後のことですか?

この記事は、追い越されること、を曖昧にしていますね。
在学生に能力的に追い越されるということなのか、
それとも、自分はいつまでも大学を出られないのに、
学生に先に “卒業” されて、置いてけぼりにされるということなのか、
まずいと思ったのですが、そのままにしてあります。

>だとしたら、どんなときにそう感じるのでしょう?
あ・・・変な質問かな。

むむっ鋭い質問ですね。(^^ヾ
でも鋭すぎるので、ひ・み・ちゅ!(はぁと) \(-_- ビシッ
Commented by enzian at 2007-09-22 20:38
aroomwithaviewさん、さらに続き

>そうそう、あの小さなマングースがハワイの絶滅の危機に瀕したネネグースを
食べちゃうんですよ。うぅっ・・・

じつはネネグースというのを知らなくて、
検索かけて調べました。(^^ヾ
マングースは頭がよくてかわいらしいのですが、
獰猛なところがありますから、
日本のいくつかの島でも貴重な在来生物を
食べてしまうというので問題になっていると聞きます。
(ハブ退治用とかに持ち込まれてしまうようです。)

関係ないけど、silver swordの花の写真、きれいでした。^^
Commented by enzian at 2007-09-22 20:41
毒きのこさん

>嗚呼、
喰われてみたい・・(-_-メ)

ヽ(´~`; ォィォィ
Commented by enzian at 2007-09-22 21:30
鍵コメ1さん

>一行目

爆笑。

>楽しみ~。

ぼくも楽しみ~ \(-_- ビシッ

>‥‥にかかわった人の成功といえるのではないでしょうか?

基本はそう思っているのですが、
そうでないこころもあるんじゃないかなぁと
今回はちょっと考えてみました。

>そこからが、また違う自分を発見するきっかけにもなりますし。

そうですね。

コメント、どうも~です。^^
Commented by enzian at 2007-09-22 21:48
鍵コメ2、3、4さん

ご覧になりましたか?

自分が自分を喰うことについてのコメント、
おもしろかったです。

自分が自分を喰うこと、というか、
自分が自分に喰われてしまうこと、
それはぼくも恐怖だと思います。

じつは、この記事には、もともと、
自分が自分の“下”だと思っている者に喰われることの恐怖と、
自分が自分に喰われることの恐怖、
両方の恐怖を扱いたい、と思っていたのです。

ですが、二つの主張を一つの記事に入れ込んでしまうと
読みにくい文章になってしまうので、
泣く泣く、後者については割愛しました。
Commented by enzian at 2007-09-22 22:00
鍵コメ2、3、4さん、続き

ただし、です。
ここから話はややこしくなるのですが。

記事の下から二行目のところに
「教えたはずの教え子」という言葉を使っています。
ぼくは、「教え子」という言葉を恩着せがましいという気もあって、
あまり使わないようにしているのに、ここでは使っています。

それはどうしてかと言うと、
「楢山節考」の内容に少し掛けてあるのです。
あれは、息子が母を背負って山へ連れていく、
つまり、餓死させる、というストーリーになっていました。
ここに、自分(=子ども)が(ある意味での)自分(=母)を喰うこと、
自分が自分に喰われてしまうこと、
という解釈の余地を入れ込んでおいたのです。

ありがとう。
鍵コメさんが聞いてくれたおかげで、
ぼくはこれを話すことができました。
Commented by enzian at 2007-09-22 22:17
鍵コメ2、3、4さん、さらに続き

それと‥‥えいっ!書いてしまおう。

自分が自分を食べるというのは怖いです。
それはとても怖いです。
鍵コメさんは、その怖さを知っておられるのですね。

ですが、まったく観点を変えると、
鍵コメさんもおっしゃるように、
自分が自分を喰うというのは必然的なことかもしれません。
おおいなる循環とか連続のなかで生きているぼくらは
ある意味での自分を喰うことでしか
生きていけない、という言い方もできるのかもしれません。
(といっても、怖いことは怖いけどね。)
Commented by enzian at 2007-09-22 23:08
鍵コメ2、3、4さん、さらに、さらに続き

>もんじゃ焼き?

そうかな‥‥
やっぱおでんだと思いますよ。
黒蜜ベースに豆とか寒天もあるから、
みつ豆でもいいかな。^^

そうそう。
宮沢賢治の石の記事、
探して切り抜きました。^^

宮沢が石にこだわったことって、とても興味深いですね。
石としてはまったく価値のないものばかり集めてた、
というのも興味深かったです。

宮沢って、日常の事象に宝石のような光を
与えていた人であったような気もします。
Commented by サンシャイン at 2007-09-22 23:48 x
こんばんは!

会社のお局の
後輩イビリ

泥沼な嫁姑戦争

などなど・・・

喰われることの
恐怖からの
防御反応なのでしょうか?

争いやイジメを無くし
仲良くって
本能的に
難しいのかも?!

なんて考えてしまい
人間と言うか
自分もその可能性が
ないとは言い切れない?!

など・・・
こちらの記事から
いろいろ考えさせられました。
Commented at 2007-09-23 03:06
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2007-09-23 03:17
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by enzian at 2007-09-23 09:32
サンシャインさん

おはようございます。^^

>などなど・・・
喰われることの
恐怖からの
防御反応なのでしょうか?

あい。
そういうところがあるんじゃないのかなぁと思ってます。
さまざまな差別の背景にも、そういうところがあるんじゃないかなぁと。
怖さの裏返しなのですね。

>争いやイジメを無くし
仲良くって
本能的に
難しいのかも?!
なんて考えてしまい

そうですね。
本能的にそういうところをもっているのかも、ですね。
でも、幸い、人には心の他の部分もあるんじゃないでしょうか?
なんとかなるかな。

>自分もその可能性が
ないとは言い切れない?!
など・・・
こちらの記事から
いろいろ考えさせられました。

そうですね。
自分も例外ではないかもしれない、
と考えることをたまにしないとなぁ‥‥と思っています。
Commented by enzian at 2007-09-23 09:51
鍵コメ5、6さん

おはようございます。
恐ろしいお目覚めでしたね。^^

ぼくのレストのもとになったコメントをお見せしたいのです。
けっこうなコメントなのですよ。
ぼくはその一部分にしかレスポンスしていません。

病気には他者が自分のなかに侵入してくる場合と、
自分が他者になってしまうような場合がありますね。

考えれば、
ぼくらは日々老化していっているわけですが、
老化の原因のひとつは、少しずつ、少しずつ、
自分の細胞が自分の細胞を攻撃することによって
起きてくるのですよね。

そういうことを大きなシステムのなかで見れば必然、
ということになるのかもしれまんが、
ぼくは仙人ではないので、
なかなか解せぬことではあります。

詩、完成したらお見せください。
きっとコメントしないけど。 (^^)v
Commented at 2007-09-23 17:15
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by enzian at 2007-09-23 22:07
鍵コメ7さん

こんばんは。

わかりまったけ。
コメントをいただいた方に了解をいただけるかどうか、
聞いてきまする。

コメントのレスは、
返事をもらってから、そちらで。(^▽^)v
Commented by 座敷童 at 2007-09-24 01:07 x
生きながら食われるのと、生きた後に食われるのは、やっぱり違いますね。
すると、ふーむ、長く生きるほど・・・老後の穏やかな日々は脅かされるわけですか。
両手に怪我したときは、使い捨てのビニール手袋をはめて
スポンジで体洗うと楽ですよ。手首のところは輪ゴムで止めるのです。
Commented by enzian at 2007-09-25 21:10
座敷童さま

>生きながら食われるのと、生きた後に食われるのは、やっぱり違いますね。

まったく違うね。
蜘蛛もカマキリも、生きたまま食べるからイヤだな。

>両手に怪我したときは、使い捨てのビニール手袋をはめて
スポンジで体洗うと楽ですよ。手首のところは輪ゴムで止めるのです。

あまりに具体的すぎると生々しくなるなぁ‥‥
どうしてかわからんけど。><
Commented at 2007-09-26 17:19
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by enzian at 2007-09-26 23:37
鍵コメ8さま

了解です。返信しました。
(アドレスをミスり、何通か送ってしまいました。
重複していたら、削除してください。(^^ヾ)
Commented by sakura310705 at 2007-09-27 08:24
はじめまして・・・sakuraと申します。
記事とはまったく関係ありませんが、
リンク、ポチッとさせていただきましたので、ご挨拶に伺いました^^
以前から時々お邪魔させていただいては、
興味深い記事をふむふむ・・・と、読み逃げしておりました。
すみません^^;
これからも宜しくお願い致しますm(__)m
Commented by enzian at 2007-09-27 23:30
sakuraさん

はじめまして、enzianです。
お読みいただき、ポチッとしていただきありがとうございます。
今後とも、よろしくお願いいたします。
Commented at 2007-09-28 22:28
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Commented by enzian at 2007-09-29 22:39
鍵コメ9さま

こんばんは。
今年の中秋の月はことのほか美しかったように思います。
今年の中秋ほどしげしげと月を見たことは、
これまでなかったかもしれません。

抱えているものが大きいから恐怖を強く感じる、
と言いたいところですが、わからないのです。
ほんのわずかなものしか持っていないから
それを死守しようとしているのかもしれませんし。(^^ヾ
でも、プラスに、プラスに解釈していただいて、
ありがとうございます♪

>恐怖が弱い人って、諦めが早い人?^^
深層心理を押し込めて生きている人?

あぁ、これはどうなんでしょう。
恐怖が弱いというのは、
一筋縄ではいかないような理由がありそうですね。
Commented by kaori_yoshihara at 2007-10-01 09:45
(記事に関係ないコメントですけれど。)

私はひと仕事終わりました。
enzianさんは全速力なのですね^^

enzianさんが、遭難した人の本を紹介されていた記事で、
「私は船長として今年は航海をふたつもやります」みたいなことを
コメントに書きましたが、ちゃんと港に戻って来れたみたいです。
これからもよろしくです^^

enzianさんは、これからどんどこ忙しくなりますね。
お体大切に。手の怪我は治りましたか。
Commented by enzian at 2007-10-02 21:01
かおりさん

無事、ひと仕事終わりましたね。
ぼくは、秋ですから、総じて全速力で走っています。^^

手のケガはすっかり治り、
ごしごし体を洗うこともできるのです。
ありがとう。

かおりさんのところ、航海中に記事がたまりましたね。^^
また、見に行きます。

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