小さな出来事

授業の合間にぼくは窓の外を見下ろしていた。窓からは大学の中庭がよく見える。中庭には大きなクスノキが一本立っていて、それを避けるように、人が二手に分かれて学舎から学舎へと移動してゆく。クスノキの根元に小さなノートの切れ端のようなゴミが落ちていた。見慣れた職員さんが歩いてくる。ぼくは見ていた。いや、拾いはしないだろう‥‥

彼はゴミを拾い、くずかごに入れて、何事もなかったようにすたすた去っていった。ぼくなら、拾わない。あの程度のゴミなら。落ちていたのが学生証やミカン箱や千円札なら拾っただろうが、あのゴミなら拾わない。気づかないうちに、ぼくは拾うべきものと拾わないですませられるものを区別しているのだ。われながら自分をあさましいと思った。

今年は、ノートの切れ端を拾えるような人になろう。

by enzian | 2008-01-02 16:37 | ※キャンパスで | Trackback | Comments(0)

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