歯切れの悪さ

マルチ商法のセミナーを観る。嬉々としてホワイトボードに書き殴っている。文字に丸をつけ、勢いよく矢印を引っ張ってくる。「われわれが扱っているのは人間の真理なのです」。セミナーの参加者たちは大きくうなずく。こういう明瞭な物言いに酔わされる人は多いのだろう。この明瞭さは言葉を単純に言い切る「強さ」であって、言葉の意味の明瞭さではない。言葉の意味よりも、その強弱を求める者は少なくない。

ただ、というか、だからというか、酔わされる人は自分がなにもわかっていないことに気づいていない。一方、詐欺師たちは自分がなにも知らないことを十分に承知している。それが詐欺師の詐欺師たるゆえんなのである。しかし実は詐欺師たちよりもっと事を深刻にするのは、自分がなにも知らないことを承知しようとしないまま、承知しようとしない怠惰の責任を他人に押しつけたまま、平気でこのような発言をする者たちなのだ。

いかにも情けないような、歯切れの悪い人でいたい。

by enzian | 2008-03-06 12:21 | ※テレビ・新聞より | Trackback | Comments(0)

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