東京出張がもたらすもの

出張のたびに、特に東京方面の出張のたびに、それほど必要とも思えないような本を買ってきてしまうので困る。活字中毒という言葉があるが、ぼくの場合、ふだんはまったく意識しないが、出張に出たとたんにその症状が出る。特に東京駅周辺でその症状は顕著で、なんらかの文庫を買わないことには帰りの新幹線に乗ることもできない。本屋に行くとトイレに行きたくなる人がいるが、ぼくの場合、東京に行くと本屋に行きたくなるのだ。

こんなことはぼくだけかと思えば、同じ学会やら会合に出ていた人と東京駅構内のキオスクの本売り場で再び出くわして気まずくなったりして、自分だけのことではないのかなぁとも思う。そう言えば、いつも京都駅のキオスクでは出張で来たらしい人たちが本をあさっている気がする。

どうして東京駅周辺でそうした症状が出るのか、いろいろ考えてみた。

1.不慣れな土地で欠けた知を補おうとしている。
ぼくにとっては東京はどうしても馴染めない土地。知らない土地だから、行くたびに、自分の知らないことがたくさんあることをいやがおうにも気づかされることになる。つまり、東京に行くたびに “自分の無知に気づかされる” ことになるのだ。それであわてて、欠けた部分を文庫本からのにわか知識でおぎなって安心しようとしているのだ。

2.不慣れな人と隣り合わせになるのを、自分空間を作ることで補おうとしている。
帰りの2時間あまりを、見ず知らずの人と、わずか15センチの間隔で隣り合わせねばならない。自分だけの空間を作って自己防衛でもしなければ、やっていられない。

3.2時間あまりは、一眠りしてもまだあまりある長い時間だから。
ぼくの場合、一眠りはせいぜい1時間といったところなので、一眠りしてもどうしても1時間あまってしまうことになる。残る時間の暇つぶしが必要である。

4.人間性を取り戻そうとしている。
出張の内容は学会か学務用の研修がほとんだが、これらは、重箱の隅をつつくようなテキストの読み方で争ったり、あるいは、おおよそ人間生活とはかけ離れたスキルの修得をめざすような殺伐としたものばかりなのだ。たとしたら、冷え切った心を温めてくれる、暖かな人間性を文庫本のストーリーのなかに求めようとすることも当然ではないか。そういえば、そんな風な本を買っている気がする。

今度、福岡出張があったら、同じ症状が出るか確かめてみよう。

by enzian | 2008-11-08 21:44 | ※その他 | Trackback | Comments(2)

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Commented by gauche3 at 2008-11-30 16:07
> 本屋に行くとトイレに行きたくなる人がいるが、
これは「青木まり子現象」というものだそうですよ。

> ぼくの場合、東京に行くと本屋に行きたくなるのだ。
と、なると・・
いずれ、「enzian現象」と呼ばれるものになるかと・・(笑)

それにしても、「同じ学会やら会合に出ていた人と出くわす」
というのは、何とも気まずい雰囲気なんでしょうねぇ・・
僕だったらその場でいきなり、「崖の上のポニョ」を歌い出して
要注意人物モードに入るしか思いつかないです・・

発車時刻まで軽く飲んでみたいという症状が出たら、
東京駅まで馳せ参じますよ!(笑)
Commented by enzian at 2008-12-01 22:10
猿夫さん

>と、なると・・
いずれ、「enzian現象」と呼ばれるものになるかと・・(笑)

となると、東京駅の本売り場は、
「哲学の道」ならぬ「哲学のキオスク」になりますね。^^

>それにしても、「同じ学会やら会合に出ていた人と出くわす」
というのは、何とも気まずい雰囲気なんでしょうねぇ・・

気まずいですねぇ。
コンビニで週刊誌を立ち読みしていたら、
後ろに学生がいた‥‥というぐらい気まずいですね。
(なんじゃ、そら。^^;)

>僕だったらその場でいきなり、「崖の上のポニョ」を歌い出して
要注意人物モードに入るしか思いつかないです・・

さすが猿夫さん、
ここぞというときの要注意人物モード
の使い方を心得ておられる。^^

>発車時刻まで軽く飲んでみたいという症状が出たら、
東京駅まで馳せ参じますよ!(笑)

ありがとうございます。^^v

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