2005年 11月 29日 ( 1 )

心置きなく泣ける場所

いつだったか、けっこう遅い時間に個研(個人研究室)でぼんやりしていたときに、二人の学生(女性)がドアをノックしたことがあった。こんな遅い時間にどうしたの?と聞くと、これから賀茂川まで二人して泣きに行くという。なにか一大事でもあったかと思えば、定期的に “泣く会” を催しているらしい。

賀茂川は総じて浅い川で、ところどころに飛び石があり、橋がなくても渡れるようにしてある。川の真ん中の飛び石だと、大声で泣いても水音にかき消されて聞こえない。なかなかよく考えていると感心し、同時に、歳若い学生であっても、夜半、水音にかき消されない限り泣けないのか、と複雑な気分にもなった。

人前でどうどうと涙を流せる大人が珍獣よろしく取り扱われる昨今。誰はばかることなく泣ける場所があるのは、少数の幸せ者だけなのかもしれない。二人が卒業して数年。一人は母親になったという。心置きなく泣ける場所を見つけられたのだろうか‥‥今でもときどき思い出す。

by enzian | 2005-11-29 18:37 | ※キャンパスで | Trackback | Comments(62)