2005年 12月 15日 ( 1 )

オンリーワンであるべく呪われている

「私が図書館にいたとき、当たり前なんやけど、先生は個研にいて別のことをしているんやなぁと思った。みんな不安やないのかなぁ、と思った」。学生がポツリと言った言葉が頭から離れない。

あのとき生まれたのは私であり、いま生きているのは私であり、いつか死ぬのは私であって、ほかの誰でもない。私が跡形もなく消え失せたあとも、地球は相変わらず同じ速度で回転し続け、世の中はなにごともなかったかのように在り続ける。「私」であるとは、誰も代わりがないことであり、誰の代わりにもなれないこと、つまり、決定的に孤立無援であって、逃れようもなく孤独であることでもある。

オンリーワンが、ナンバーワンに代わる人生の目標のひとつとしてもてはやされたことがあった。だが本当のことを言えば、私はいつもオンリーワンであって、常にオンリーワンであるべく呪われている。得体の知れない私という生き物たちが、それぞれに交じり合うことなく、もちろん、助け合うこともできずに生きていること(たとえそのまったく逆のこともまた真であるとしても)の不安定さ――それが、学生が「不安」ということで言わんとしたことなのだろうか。

by enzian | 2005-12-15 22:22 | ※キャンパスで | Trackback | Comments(33)