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走馬燈

b0037269_23295647.jpg美へのセンスはほとんどない。特に人間の表面に現れる美へのセンスはまったくもちあわせていない。色にも詳しいわけではないが、こだわっている色はある。水色だ。青と白の絵の具を混ぜるのが訳もなく楽しくて、保育園のころ、描く絵はすべて、この色で塗りつぶした。

青と白の絵の具をひたすら混ぜて、保育園児は理想の色を探していたのだろう。それは、保育園の庭の端のフェンスまでどころか、何千キロの彼方でも自由に行き来できるようになったいまでも変わらない。まだ編み合わされていない余白を縫い合わせようとするかのように、そのような色を索(もと)めて、ときどきふらふらと波照間島のニシハマに行く。そこには、えもいわれぬきめ細かな白砂があり、白と青のコントラストがある。触覚と視覚を満たすものがある。手指をすり抜ける砂の感触を感じながら、ひがないちにち水色の空と海を見ている。

ニシハマの水色は美しいが、それが理想の水色なのかと聞かれれば、口ごもってしまう。すっきりと晴れわった日のニシハマを知らないからだ。雨男の悲しい性。ニシハマではないが、一度だけ、 “理想の水色” を見たことがある。いつのことか、仏間には縁側から日が射していた。音も立てず、なにを動力にしているのかわからない水色の走馬燈が回っていた。あまりにも美しい水色でいやになった。

by enzian | 2010-04-24 16:19 | ※海を見に行く | Trackback | Comments(22)

習慣

新学期がはじまると、それまで当たり前だったことが当たり前でなくなったりします。ちょっと前までは、20時半になると個研に来るひとたちがときどきいたのですが、いまはそんなこともなくなりました。去る者を追うような性格ではありません。それでも身についた習慣とはけなげなもので、20時すぎに仕事が終わると、自然に、どうせだからもう少し居ようか、などという気持ちになってじっと待っていたりするのですが、もうそういうこともないのだとはっと気づいて、帰り支度をはじめたりします。

もちろん、新たな習慣もはじまりつつあるのでしょう。まだ自覚してはいませんが。

by enzian | 2010-04-20 22:59 | Trackback | Comments(11)

星空は好きだが、宇宙には行きたくない。

行けもしないと思いますが、宇宙には行きたくないものです。自分から望んで宇宙に行こうとするひとには感嘆しますが、まねしようという気はありません。宇宙にはロマンがあるとか星空にはロマンがあるというのであればなるほどと思いますが、宇宙に行くことにこそロマンがあるとか、そういう空間で衛星を修理したりするのが人類の理想であるとか言われたら、私はロマンのかけらもない小動物でけっこうです。

深海もイヤです。深海生物を写真や水族館で見るというのは悦ばしきことですが、深海に行くのはゴメンです。考えただけで酸素不足になって、怖いデチュとなります。そういう場所を求めるのが人間であるとおっしゃるなら、私は人間失格でよろしい。人間失格の小動物として生きていくのです。世の中のお役に立てずごめんなさい。ほんとうに申し訳なく思っております。私がロマンを感じる場所は、そのへんの木の根もとなんかにあります。

by enzian | 2010-04-17 11:09 | ※その他 | Trackback | Comments(2)