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「きっと会える!大好きな人に」

NHK「歴史ヒストリア」、「きっと会える!大好きな人に~渋谷とハチ公 真実の物語~」の回を観た。ぼくらは誰か大切なひとが帰ってくるのを待っているような気がするし、大切なひとのもとに帰りたいと願っているような気がする。だとすれば、いつまでも大切なひとの帰りを待ち続ける姿に、打たれないひとは少ないだろう。番組を観ながら、何度も涙腺がゆるんできて困った。そして、この話の背景にそんなことがあったとは知らなかった。それなりに美談化している部分もあるのかもしれないが、どこもかしこも猛りはじめようとするかのような時代にこんなぴりりと利いたストーリーを作った気骨に、やはりNHKだと思った。

上野博士との再会像は今度東大に行ったときに見てこよう。あとで調べたら、この像をつくろうという発案をしたのは東大の哲学研究者だった。

by enzian | 2015-10-26 20:22 | ※テレビ・新聞より

カネタタキ

空を見上げたら、昼間の空の青さと夕暮れどきの赤がせめぎ合う、青と赤のグラデーションが見えた。薄暗くなった足下には下草が生えている。少し前まではうるさいほどに鳴き盛っていたコオロギやマツムシの姿はない。ほかの秋虫がいない静寂のなか、ただ、寒さによく耐えるカネタタキだけが鳴いている。彼らはときにはクリスマスのイルミネーションが明滅するなか、12月になっても鳴いていることがある。

隙を見つけては人家に侵入しようとするカネタタキは、今年も我が家の風呂場で捕獲され、そっと庭に放たれたのであった。そして、そやつは見事、二度目の侵入も果たしたのであった。これほどまでに人なつこい虫はほかに知らない。人はただ無性に人を求めるときがあるが、カネタタキはなぜ人家を求めるのだろうか。ぼくはこの虫に、ことのほかやさしい気がする。

by enzian | 2015-10-16 23:35 | ※その他

当たり前のこと

「他のひとなら当たり前にできることが、なぜわたしにはできないのだろう」‥‥頬に流れるものを見て、なんともいえない気持ちになった。

当たり前のことを当たり前のようにできるひとがいる。
当たり前でないことでも当たり前のようにできるひとがいる。
当たり前のことでさえどうしてもできないひとがいる。

「なんともいえない」というのは自分の姿をそこに見た気がしたから。ひとがもつ能力は凸凹だといわれることがある。凸凹であるとしたら、どこが凹でどこが凸であるかは違うにしても、どこかが突出していて、どこかが凹んでいるという意味では誰しも同じだということになる。

だが実際には、突出している部分でも一般人の凹んでいる部分にさえ及ばないひとがいて、なにをどう磨こうと、どう経験を積もうと、必要な部分が人並みには及ばない‥‥といったことは厳然としてある。いやというほどある。

かくいう自分も、昔からなにをしても人並みにはできないひとで、当たり前のことが当たり前にできない人間なのだ。「そんな人間でも、いちおう、いままで生きてくることはできたよ」と伝えようとして、やめた。そんな言葉が、なんのなぐさめになるものか。

by enzian | 2015-10-06 23:24