1993年

b0037269_2244445.jpgときどき、かつて出会ったひとの名前を検索にかけることがある。小学校から高校にかけて出会ったひとたち。その後どうしているかと、気になることがあるのだ。なんど調べてみても検索にかかることはほとんどないが、それでもときどき調べてみる。そんなひとたちのなかで、とりわけ気になっていた男がひとりいた。

そいつは小学生にして、将来、自分は映画監督になるのだと公言していて、映画以外のことには興味がないかのようであった。特に映画が好きなわけでもなかったぼくは、どちらかといえばそいつとは馬が合わなかった。いや映画が好きとか嫌いとかいったことは理由ではなかった。いまから思えば、そのころのぼくは夢やら希望を臆面もなく話せる人間、そのようなものに向かって走りだせる人間が疎(うと)ましくてしかたなかったのだ。

今日検索をかけてみたら、はじめてそいつの名前が検索にかかった。映画関係者何人かとの集合写真。まごうことなくそれはあの男だった。東京に住んでいるらしい。「カメラマン」と書いてある。その写真は1993年当時の写真をメモリアルとして貼ってあるもので、その後の足取りはどこにもなかった。だが、少なくともやつは1993年まで公約どおり夢を追いかけていた。やられた、と思った。
by enzian | 2010-12-24 22:48 | ※その他 | Comments(0)

身の周り半径5メートルほどにある、なにげない日常をささやかに見つめ直します。


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