一本

大学のパソコンに入っていたデータをUSBメモリーに移し換えた。このパソコンは置いていくのだ。こつこつと長い時間をかけてつくってきたデータだったから、小さなメモリー一本で足るか心配だったが、なんのことはない。メモリーの残量はありあまっている。不勉強だからだろうといわれればぐうの音も出ないが、このさきめいっぱい勉強しても、ぼくが作り出したデータなど、このメモリー一本を満たすこともできないだろう。

メモリーに移し換えて、心配になった。この一本が壊れてしまったら、これまで大学生活のすべてがなくなってしまうではないか。一本に賭けるというのは聞こえがよいし、それはしばしばぼくにとっても魅惑的に感じられるものなのだが、不必要にやると滅亡を早めてしまう。ぼくが学生として学んでいたころの大学は、さながら各種のはちゃめちゃな変人たちを陳列する博物館の情趣があったが、いまは均一の製品をつくる工場のようになった。そして困ったことに、こういう均一化、均質化の作業のいったんは自分も担っている。
by enzian | 2011-03-05 21:25 | ※キャンパスで | Comments(0)

身の周り半径5メートルほどにある、なにげない日常をささやかに見つめ直します。


by enzian
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