見なかったことにして

バスを降りると盛んに雨が降っている。いらっとしながら折りたたみの傘を開けようとすると、暗いバス停に若い女性がひとり立っていた。傘をもっていないらしい。バス停からさほど遠くないところに住んでいる女性とわかる。顔を見たことがある。傘に入れてあげようかと思うが、すぐに打ち消す。相手が少年や男性であれば声をかけられただろうが、しょせん、相手は決して声をかけることはできない存在なのだ。かければ相手にも迷惑だろうし、こちらにもどんな災いがふりかかるかしれない。そんな小さなこともできないとは。なにも見なかったことにして、ひとり傘をさして家路に急ぐ。男と女、つまらぬものだ。
by enzian | 2011-10-24 21:35 | ※その他 | Comments(0)

身の周り半径5メートルほどにある、なにげない日常をささやかに見つめ直します。


by enzian
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