紙風船

b0037269_0255932.jpg学校からはさほど遠くないところに「ユリヤ商会」というおもちゃ屋があった。店先にはいつも玉を追っかけまわすキツネのようなアライグマのような動物のおもちゃが動いていて、ぼくの学生のころから変わらず老夫婦が店を切り盛りされていた。

かなりの高齢のようで、いつまで続くかと、大きなお世話だろうに、その前をとおるたびにひやひやしていた。正月になれば、ゲイラカイトやらが置かれていて、季節によって商品を変えているのだと驚いたことがある。

客が入っているのを見たことはない。いつかなにかを買ってみようと考えていて、紙風船がいいと思いついた。好きなのだ。ゴムでできているわけでもないものが風船になることが、小さなころは不思議だった。ふっと息を吹き入れて、ぽんと音をならして空に打ち上げると、すっとではなく、ゆっくりふわりと落ちてくる。またぽんと打ち上げる。

先日、店前をとおったら、シャッターは降りており、閉店を告げる紙が貼られていた。誰しもそうだろうが、衰退していくのを見ることには胸をしめつけられる思いがする。伸長していくひとたちを見るのが仕事であったことに胸をなでおろす。
by enzian | 2012-07-01 00:30 | ※街を歩く

身の周り半径5メートルほどにある、なにげない日常をささやかに見つめ直します。


by enzian
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