カートを押すのが好き

スーパーでカートを押すのが好きです。最寄りの駅に生協があるのですが、仕事帰り、なにも買うものがなくても、ただカートを押したいがために行くことがあります。買うつもりのものがないのですから大きなカートを選ぶ必要はないのですが、小さなカートと大きなカートでは押しごたえが違いますから、大きなカートを選びます。大きなカートを押してフロアを疾走しているとなにやら生きているという実感がしてまいります。なにか学校で辛いことがあったとかそういうことではありません。鮮魚売り場を越えて、できるだけコーナーでスピードを落すことなく缶詰売り場をめざします。カートの車両がわずかにきしんでがぜんテンションが上がります。缶詰売り場をめざすのは缶詰が好きだからです。いえいえ、缶詰の中身というより缶詰自体、缶詰のボディが好きなのです。買わなくても、食べなくても、ただ、缶詰コーナーにたたずむ缶詰を観ているだけでいいのです。もちろん、それがカートのグリップをぎゅっと握りながらのことであれば、なにも言うことのない至福の瞬間なわけです。そうやって楽しんだ後は、さすがになにも買わずにレジに行くわけにはいきませんから、きまって舞茸を1パック、カートに積んでレジの列に並びます。
by enzian | 2016-07-03 14:07

身の周り半径5メートルほどにある、なにげない日常をささやかに見つめ直します。


by enzian
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