作務衣

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中退した彼がとつぜんやってきた。作務衣を着ていて、細身によく似合っている。「一度着たかったから着ました」と言う。「遠いところからやってきて、ぼくがいなかったどうしたの?」と尋ねたら、「書き置きして帰りました」とこともなげに答えた。先日も、ちがう卒業生が書き置きを残していったばかりだった。ぼくからすれば、せっかく来てくれた人を会わないままで帰してしまうなんてぞっとするほどいやなことなので、メールしてくれたらよかったのに……と思ったが、それはぼくの都合なのだ。

思えば在学中も、いつも彼は個研に来るときあらかじめ連絡することなく現れた。それが彼の心遣いなのだ。ぼくが長く付き合うことになる学生には、無駄なくスケジュールを確認したうえで来る人よりも、とつぜん現れる人が多いような気がする。
by enzian | 2016-12-26 22:02

身の周り半径5メートルほどにある、なにげない日常をささやかに見つめ直します。


by enzian
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