『学問の道標』(柏祐賢)

b0037269_12442754.jpg以下は、他のブログで書いた記事の転用です。このブログの趣旨とは合わない本ですが、絶版状態になっているのを残念に思っている本なので(しばらく本を紹介していないこともあって、汗)、こちらにも載せておきます。

柏祐賢『学問の道標―学究者におくる』(未来社、1984年)です。学生諸君のなかには研究者を志す人もいるでしょう。本書は、文系の研究者を目指す人の心構えを説くために書かれた――そして、読む者の心を動かしうる――数少ない書のひとつです。著者は京都学派、とりわけその方法論としては、哲学者であった高坂正顕の影響を強く受けています。

学問とは一体なんであり、学問を志す研究者はいかなる人格を養わねばならないのか――20年以上前のものですが、著者の考え方を時代遅れと感じる者があるなら、それは、時代の趨勢に流されることのない学問の本質をいまだ知らない者だと言わざるをえないでしょう。すでに絶版となり、入手の非常に困難な書物ではありますが、研究者を目指す人であれば、一度は目を通してもらいたいものです。

著者の「はしがき」を締めくくる言葉を記しておきましょう。
 
「これから、この学問研究の厳しい道にわけ入ろうとする諸君に、ここで強く申したい。すなわち、この道の何であるかを十分にわきまえ、これこそ、自らの真に進むに値する道であると自覚し、もってまっしぐらにつっ走ってもらいたい。学問の道は、自らの生涯をかけ、燃え尽きるにふさわしい一本道である。」

こちらに、土偶さんによる、けっこうなブックレビューがありますので、ご参照ください。

柏祐賢氏がお亡くなりになりました。その謦咳に接する機会に恵まれた者ではありませんが、この書より得た学恩に感謝いたします(2007.3.17追記)。


b0037269_22354768.jpg『学問の道標』の増補版(柏久編著『「生きる」ための往生―李登輝台湾前総統恩師柏祐賢の遺言』)が、柏祐賢氏の追悼本として再版されました。その「あとがき」によると、このブログ記事もまた、再版のきっかけとなったとなった、とのことです。

思えば『学問の道標』と最初に出会ったのは、私がまだ20代の院生であったころ、京都の小さな古書店においてでした。すぐに一読し、柏祐賢氏については詳しいことはなに一つ知らぬまま、いつか自分が研究者になることがあれば、この書を学生たちに紹介したい、と望んだことをよく覚えています。

いま、ブログの記事を介するというかたちで、この書が広く若い読者に読まれることの一助となれたということでしたら、これに勝る悦びはありません(2007.7.14追記)。
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Commented by supica-hosi at 2007-02-12 13:15
以前の記事で「学問とのであい」を拝読しました。
大好きな記事の三本の指に入っています。
いつも抑えて書かれる記事の中で
静かですが、心ひかれる表現が並んでいます。

まっすぐなまなざしに憧れます。
こんなふうに日々ジグザグに行く中で
ふと自分の中でそれを確認しようとする時間があります。
まっすぐなものは、たくさん寄り道があるのではないでしょうか。
それでものまっすぐさをここから感じています。

本に囲まれてすごすのが大好きなのは
今も昔も変わらず、読書会なんて通い続けています。
本と言うのは、こころのより処だと思います。
黙って理解するまで待っていてもくれるし
わからなくても無言のままです。
だからどなたかに如何ですか?と差し出された本は
ご縁のものだと思います。
ましてenzianさんがなさったこと。
Commented by enzian at 2007-02-12 14:29
スピカさん

>以前の記事で「学問とのであい」を拝読しました。
大好きな記事の三本の指に入っています。

ありがとうございます。
あの記事は、存外に、たくさんの方にもおほめにあずかったものです。
なかでも、とてもうれしかったのは、恩師がお読みになっていて、
ほめていただけたことです。

学問の世界は、もちろん実力も必要ですが、
プラスアルファの運が絶対に必要な世界でして、
ぼくが運良くこの世界に残ることができたのは、
この恩師がたまたまぼくの能力を高く評価してくださったからなのです。

ぼくよりも優秀な先輩や後輩の誰も残れなかったことを思えば、
自分がいまある立場には感慨深いものがあります。
でもそういうことは、どの世界でも同じなのでしょうね。
Commented by enzian at 2007-02-12 14:40
スピカさん、続き

本を読むのは好きです。

>黙って理解するまで待っていてもくれるし
わからなくても無言のままです。

名言ですね。
φ(._.)メモメモ

それと、一つお願い、
あの、あの、あのコメントの
「オープン‥‥」部分、
どうかあの部分だけを削除していただけませんか?
あれは勝手に撮られて勝手に流されているものなのですが、
あんなの見られたら、
恥ずかしくて明日からネット生活ができません。><(×5)
Commented by coeurdefleur at 2007-02-20 20:56
お待ちかねのクスノキのブツ
出ましたわ^^
http://dojou7.exblog.jp/5569765

見てのお楽しみということで黙っていよう。
enzianさんが喜びそうなオマケもありました^^


学問の道・・・
私が進むのは学問の道ではないけれど、
「この道の何であるかを十分にわきまえ、これこそ、自らの真に進むに値する道であると自覚し、もってまっしぐらにつっ走ってもらいたい。」
これは何にでもあてはまる励ましのお言葉~
Commented by enzian at 2007-02-21 00:54
柊さん

クスノキのブツ、見ました。
あの旺盛な食べ方は、けっこう立派な方なのでしょうね。
なかにいないということは、冬ごもりするのではなくて、
夏から秋の残骸なのかな。
蛾にしても蝶にしても、
これでまちがいない、
というところまでは、なかなかいかないですね。

そうそう、あのきれいなキノコ、
「ハチノスダケ」と言います。
文字通りのキノコです。
食べても毒ではありませんが、
まずいので、食べない方がよいかと‥‥^^

>これは何にでもあてはまる励ましのお言葉~

そうですね。
当てはまりますね。^^
Commented at 2007-08-14 11:04
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by enzian at 2007-08-14 11:31
鍵コメさん

鍵コメさんこそ、お元気で。
by enzian | 2007-02-07 13:00 | ※好きな本 | Trackback | Comments(7)

身の周り半径5メートルほどにある、なにげない日常をささやかに見つめ直します。


by enzian
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